第6章 貯蓄計画を立てお金を育てる

貯蓄に回すお金を洗い出す【4つの財布でお金を管理する】

家計の見直しで捻出できた資金を積み立てる

貯蓄計画を立てる

 ライフプラン表にたくさんのライフイベントを書きだして、貯蓄額の推移についても把握できたら、これから先、お金がたくさんかかることがわかったと思います。

 そこで、これから先のライフイベントに向けて貯蓄計画を立ててみましょう。

 出来上がったライフプラン表をご覧になって、順調に収入が増加し、ライフイベントに必要な金額を全て用意できるなら問題ありませんが、なかなか厳しいのが現実ではないでしょうか

 そうなるとライフイベントまでに、必要なお金を貯めていく必要があります。

 家計の見直し等で捻出できた資金を計画を立てて積み立てることから始め、毎月の貯蓄額が決まったら、貯蓄計画を立てましょう。すでに毎月積立などで貯蓄や投資をしている人は、あといくら貯蓄に回せば目標額に到達するのか、計算をしてみてください。

 ここで注意しないといけないことは、いくら目標金額があるからといっても、無理な貯金目標額を決めて大きな金額を貯蓄に回し過ぎないことです。

 無理して貯蓄に回してしまうと、必死でやりくりをして帳尻をあわせなくてはなりません。そうなってくると、日々の仕事や忙しさなども加わり「ちょっとくらい使ってももいいかな」という考えがでてきてしまい、結果としてまた、お金が貯まらなかったということになります。

 そこで、目標金額を知るのと同時に、無理のない貯蓄可能額を知り、貯蓄計画を立てることがとても重要です。

 貯める目標、ゴールの金額はおいといて、貯蓄して欲しい金額の目安は、手取り額の15%です。

 例えば、手取りの15%を積み立てるとすると1年間で貯まる金額は、手取りの年収が300万円なら45万円。400万円なら60万円、500万円なら75万円になります。

 もちろん実際は、この金額で目標金額が貯まることもあれば、足りない場合もあると思います。

 家族構成や年収、持ち家の有無などによって貯蓄できる金額はずいぶん変わってきますので、あくまでも目安として参考にしてください。

4つの財布でお金を管理する

貯蓄計画を立てる(4つの財布)

 では、積立額が決まったらどういった方法で貯めるか、どのようにお金を管理するかを考えていきましょう。

 管理の仕方で簡単なのは、4つの財布でお金を管理する方法です。

 目的に応じてお金を4つの種類に分けて、バランスよく使い分けます。

①普段使う財布

 日常生活費として使うお金で、ライフプランで入力した固定費や、やりくり費のお金を普段使う財布として、引き落としされる口座に入れておきます。

 目安となる金額は、生活費の1.5ヶ月分程度。

 例えば、1ヶ月の手取り収入が40万円、生活費が30万円の人であれば、「ふだん使うお金」は30万円×1.5ヶ月で45万円程度を生活費用の決済口座に入れておきます。

②貯めておく財布

 何かあった時のために、貯めておくお金です。

 大きな病気やケガをした時の医療費など、不測の事態への備えるために貯めておくお金として、引き落としされる口座とは分けて預けておきます。

 目安となる金額は、生活費の1年分程度。

 例えば、生活費が1ヶ月あたり30万円の人であれば、360万円ということになります。

③もうすぐ使う財布

 例えば、次の車検には自動車の買い替えを予定しているとか、海外旅行を予定しているなど、これから3年以内くらいに予定しているライフイベントがある場合に、それらの準備金として引き落としされる口座とは分けて銀行の定期預金などに預けておきます。

④育てて使う財布

 「普段使う財布」「貯めておく財布」「もうすぐ使う財布」の3つに関しては、普段から使ったり、いざとなったらすぐ使うお金なので、普通預金や定期預金などで、いつでも使いたい時に使えるようにしておくことが重要です。

 ただ、使う時期が10年以上先だったり、老後資金のためのお金だとしたら、資産運用商品を検討してみるのもいいかもしれません。

 一般的な銀行で定期預金をしても金利は0.01%程度。1年間100万円を預けても利息は100円しかつきません。

 そこで、普段使う財布や貯めておく財布、もうすぐ使う財布に十分お金が入っているなら、預金以外の運用方法にチャレンジしてみてもいいと思います。

 例えば、インデックスファンドなど投資信託は、毎月一定額ずつ自動積立の要領で購入できるものがたくさんあります。一部のネット証券では、積立額を1000円単位で設定できるものもあり、かなり自由度が高まっています。

 投資信託は元本保証でないため、預け入れた金額よりもお金が減ってしまう可能性もありますが、お金が増える可能性にも期待できます。当面使うことのない老後資金や、余裕資金の一部をこうした投資信託などで運用するのも一つの方法です。

低金利時代のお金の育て方【計画を立て貯める仕組みを作る】

確実に貯める仕組みを作る

お金を育てる(仕組みづくり)

 貯蓄計画を立てたら、次はそれを確実に貯める仕組をつくります。

 基本は元本が保証される貯蓄で、銀行の自動積立や社内預金制度、財形貯蓄制度を活用します。

 お給料が振り込まれた日に自動的に貯蓄にお金が回るようにして、手間をかけないでも確実に貯蓄にお金が回る仕組みをつくることが大切です。

 しかし、比較的金利の高いネット銀行で積み立て預金をしても金利は0.01%程度。3万円を1年間積み立てた場合の利息は11円しかつきません。

 そこで、ある程度すでに貯蓄ができているのなら、貯蓄以外の運用方法にもチャレンジしてみましょう。

 運用利回りを高くすることができれば目標達成のスピードを上げることができます。年1%よりも3%、そして5%の方がお金は早く貯まっていきます。

 1000万円を貯めようと毎月3万円の積み立てを始めた場合、定期預金の0.01%だと28年弱、1%だと25年近くかかりますが、3%だと20年ちょっと、5%なら17年ちょっとで達成できます。

 これは利回りが高いからと言うだけではなく、複利効果によって利息に対しても利息がつくことによるものです。

 この複利効果は運用利回りが高いほど、そして運用期間が長いほど大きくなります。

 投資信託などのリスク商品は元本保証でないため、預けたお金が減ってしまう可能性もありますが、お金が増える可能性にも期待できます。

 当面使うことのない老後資金や、余裕資金の一部を投資信託などで運用するのも一つの方法です。

将来のお金を貯める(利回り)

お金の実質的な価値は変わる【インフレと円安の基礎知識】

お金の実質的な価値は変わる

資産を運用する(インフレ)

 お金の実質的な価値は変わる要因となる、インフレや円安についてみていきましょう。

 いろんなライフイベントごとに、かかるお金を見てきましたが、実際どうだったでしょうか?

 「結構かかるな」「これくらいだったらなんとかなるかな」など色々思われたと思います。

 ただ、気をつけたいのが、現在足りているからといっても、将来も足りるとは限りません。

 なぜかというと、お金の実質的な価値は変わっていくからです。

 どういうことかというと、インフレって聞いたことあると思いますが、インフレになると物価が上がって、お金の実質的な価値が下がっていきます。

 例えば、前年比2%の物価上昇が実現すると、同じ100万円でも10年後にはおよそ82万円分の買い物しかできなくなり、20年後にはおよそ67万円分の買い物しかできなくなるということです

 例えば10年後に車を買おうと思って頑200万円を貯められたとしても、10年後の車の価格は物価上昇によって244万円になるということです。

 200万円を利息がつかない方法で貯めても200万円は200万円にしかならないので、物価上昇率が2%だったら、2%以上の利息がつく方法で貯めないとお金の実質的な価値は減っているということです。

資産を運用する(預貯金のリスク)

為替の影響を考える

 また、利息のつく貯め方をしていても、円安が進むと相対的に価値が目減りする可能性があります。

 例えば、米ドルに対して円の価値が下がり1ドル100円だったものが1ドル200円出さないと買えないことになるとどうなるでしょうか?

 日本はいろんなものを輸入に頼っているので、原材料価格や製品価格が上昇し、インフレと同じような事が起こるんじゃないかと考えられます。

 このような状況も想定しながら積み立てをしたり、お金を預けたりすることがライフイベントを達成させるための基本です。

 お金はただ持っているだけでは、実質的な価値が下がってしまう可能性があります。預貯金も金利がつきますが、現在のような低い金利では、お金の実質的な価値の減少はカバーしきれません。

 単にで貯めるだけではなく、物価の変動も視野に入れた資産形成を考えていく必要があります。

特徴を知り使い分ける【キャッシュレス決済を活用する】

キャッシュレス決済を使い分ける

キャッシュレス決済

 キャッシュレス決済とは、お札や小銭などの現金を使用せずにお金を払うことです

キャッシュレス決済の手段には、クレジットカード、デビットカード、電子マネー(プリペイド)やスマートフォン決済など、様々な手段があります。

 キャッシュレス決済の特徴や基本的な違いを知って、目的に応じて使い分けることが大切です。

 最新の情報では、キャッシュレス手段の保有率として、クレジットカードが86.6%、電子マネーが77.4%、スマートフォン決済が56.5%を占めており、スマートフォン決済の伸びが顕著であることが伺えます。

 QRコードを使った決済もあちこちで見かけられるようになってきましたが、2019年10月から政府が行った。消費税率引き上げに伴う、キャッシュレス決済のポイント還元事業もあり普及が進んできました。

キャッシュレス決済のメリット

①現金がなくても支払いができる

 出かけた先で前から欲しかったものを見つけても、現金の持ち合わせがないと、現金派の人は、コンビニや銀行のATMで現金を引き出しに行く必要があります。しかし、キャッシュレス決済なら、そうした手間がいりません。

②精算が早い

 精算が早く済むというのも、キャッシュレス決済の大きな特徴です。レジが渋滞しているときに財布の中の小銭を探したり、釣り銭をやりとりしたりという手間がありません。

③支払い履歴が残る

 キャッシュレス決済であれば、支払い履歴をインターネットの会員ページで確認することができます。

 家計簿を付けるのが面倒な人も、1カ月にどれくらい使っているか。何に対して使っているかが簡単にわかります。

 最近の家計簿アプリは、複数のキャッシュレス手段をまとめて管理できるものがあり、銀行口座やクレジットカード、電子マネーなど複数のキャッシュレス手段をアプリに登録できます。

 口座の出入金やキャッシュレス決済の内容が自動的に記録され、自分で記入や登録をしなくても収支の管理が簡単にできるので、ライフプラン表を作成するときにも簡単に入力できます。

 その他にもサービスによってはポイントが貯められたり、キャッシュバックがあったりします。

キャッシュレス決済の特徴

①スマートフォン決済

 スマートフォンさえあれば支払いが完了するので、スマートフォンを肌身離さず持ち歩く人や、お店で支払いのときに財布からカードを取り出すのが面倒という人は、スマートフォン決済だと簡単に支払いが済みます。

 スマートフォン決済にも様々な種類がありますが、銀行口座との連携だと前払いか即時払い、クレジットカードとの連携なら、後払いが基本です。即時払いのスマートフォン決済なら、使い過ぎが怖いと人も安心して使えます。

②電子マネー

 主に電車やバスの運賃、定期券としても使えて利用範囲が広い「交通系」と、発行元のお店や関連のお店で割引サービスなどがある「流通系」の2種類に分けられます。

 少額の支払いをスピーディーに済ませたいときには、電子マネーを使うのがおすすめです。特に、駅の売店や自販機などの支払い、バスや電車の運賃の支払いは電子マネーを使ったほうが便利です。

③クレジットカード

 歴史も長く対応する店舗が多いのがメリットの1つです。店舗によっては、電子マネーやスマートフォン決済には対応していないが、クレジットカード払いはOKという場合があります。

また、電子マネーと比べたとき、クレジットカードの限度額のほうが一般的に高く設定されているので、高額な買い物をするときはおすすめです。

④デビットカード

⑤プリペイドカード

 クレジットカードは後払いなのでいわば借金みたいなものですが、デビットカードなら口座から即時にに引き落とされるので、基本的に口座残高を超えて使う事はありません。

 プリペイドカードは前払いタイプで、事前にカードに入金しておいた金額だけ利用することができます。未成年者でも利用できるので、親があらかじめ決めた金額をカードに入れて渡しておくといった使い方もできます。

 クレジットカードは、カードを作る際に審査が必要になりますが、デビットカードやプリペイドカードは、原則審査なしでカードを作ることができます。

キャッシュレス決済の注意点

 ポイント還元が受けられるという点は、キャッシュレス決済の魅力ですが、ポイントをためたいという理由で、たくさんのカードを作ったり、アプリを入れたりしないことです。

 それに、カードを必要以上に作りすぎると、管理が難しくなります。

 使ってないのに知らない間に年会費が引かれていることもあるので、必要のないカードは作らないようにしましょう。

 普段使っていないと暗証番号を忘れたりセキュリティ面で、不正に利用されていても分かりにくくなります。

 普段から使っていれば、請求金額が高額だったり、身に覚えがない請求はすぐに気づきますが、普段使っていないとなかなか気づきにくいものです。

 身に覚えのない支払いがないかを利用明細書などで自ら確認し、暗証番号に関しても推測されやすい暗証番号にしない、他人には絶対教えない、周りから見えやすい状況で暗証番号を入力しない、すぐ分かるような場所に暗証番号は記載しないといった対策も必要です。


それぞれの特徴を確認して、ライフスタイルや利用シーンにあわせた、キャッシュレス決済を上手に使い分けてください。

お金を増やすにはタイミングが重要【お金の貯めどきを逃さない】

ライフイベントまでの期間がわかる

これからの収入と支出

 ライフプランを作成すると、ライフイベントまではあと何年あるのかがはっきりします。

 貯蓄できる期間がわかるので、ライフイベントにかかる金額と今の貯蓄との差額を考えると、もう少し頑張って貯蓄の割合を今より上げなきゃいけないとか、目標金額の達成が、ライフイベントの時期までには難しそうなら、ライフイベントによっては達成時期の変更も検討できます。

 ただ、子供の進学時期に関しては、本人以外の都合で時期を変えることはできないので、どの項目を優先して貯めるべきか事前の対策が可能になります。

 他にもライフプランを作成すると、見えてくるものがあります。

 それは貯金が順調に進みそうな時期と、そうでない時期です。

 例えばライフステージの変化により、これまで守ってきた毎月の貯金額を、やむを得ず減らさなければいけないときが来るかもしれないのです。

 貯金のペースが崩れることがあっても、その都度対応していくことが必要です。

 貯蓄が順調に進みそうな時期を見ていきましょう。

3つの貯めどきを逃さない

お金の貯めどき

①夫婦2人の時期

 これは、子どもが生まれる前の時期ですが、この時期は夫婦2人だけにしかお金がかからないので貯金も自由にできます。

 結婚後も共働き夫婦の場合は、夫婦2人分の収入があると、出費も多くなりがちです。

 例えば、生活費は夫の給料だけとすることにして、妻の給料は貯蓄に回すなど、夫婦2人分の収入を生活費としないようにすることをおすすめします。

 子どもができれば当然出費は増えますが、貯蓄の習慣は継続することが重要です。

 教育費で一番お金がかかるのは、大学進学以降の18歳から21歳。それまでに目標を決めて貯蓄する必要があります。

夫婦2人暮らしの間に、なるべく貯蓄のペースを上げておくと同時に、子供が生まれてからも、少額でも構わないので貯蓄を継続することを心がけるようにしましょう。

②子供が小学生の頃

子供が小学生の時期までは教育費の負担も少ないため、比較的貯めやすいといえます。

 2019年からは3〜5歳児と住民税非課税世帯の0〜2歳児は幼稚園や保育園の利用料が無料になり、自治体によっては認可外保育園に通っている子どもに月数万円の助成金が出ます。

 幼稚園や保育園の無償化により、多くの子育て世帯が保育料の全額、もしくは一部が無償となることで家計の負担が減ることになります。

 また、児童手当は0歳から中学生まで支払われるようになり、児童手当を上乗せする自治体もあります。

 医療費に関しても、自治体によっては高校生まで無料の自治体もあります。

 産休や育休から復帰し共働きになると、収入を増やしやすくなるので遅くとも子供が小学校に入学するまでに、大学進学費用を貯め始めましょう。

 ただし、子供の人数が多ければその分だけお金はかかります。

 さらに、子どもを中学受験させるなどの事情があれば、お金も相応にかかりますので貯めどきは短くなります。

③子供の独立後

 そして、子供の独立後は子供の教育費の負担がなくなるので貯めどきと言えますが、おそらくここが最後の貯めどきになります。

 老後資金や住宅のリフォーム資金など、セカンドライフで必要な資金を確保しましょう。

 これらの貯めどきに、しっかり貯める意識を持たないと、お金はあっという間に減ってしまいます。

 臨時収入があったり、収入が増えたりすると、どうしても気持ちが大きくなり、車の買い換えや、普段の買い物でも「いつもよりワンランクアップ」と高価な商品を選びがちです。

 これではせっかく手に入ったお金も貯まることはありません。

お金が貯めづらい時期

 この時期以外で貯金のペースを上げようとすると、例えば子供の習い事や住宅ローンがかさむなどして、思うようにいかない可能性が高くなります。

貯蓄が順調に進みそうな時期の幾つかが、すでに過ぎてしまっていかもしれませんが、これからやってくる貯めどきは逃さないようにしましょう。

 逆に支出が多くなり貯金がしづらい時期というのは、特に子供が大学や専門学校に進学する時期です。

子供の進学費用については親が全額用意するだけでなく、奨学金を借りたり、授業料免除の制度がある学校を選んだりという方法もあります。

 また、人によっては親の介護で資金の援助が必要になることもあります。

ライフプラン表を見ながら、今は貯金がしやすい時期なのかどうか、そして貯金がしづらい時期が、あとどのくらいで訪れるのかを前もって知っておくと、より効率的に貯金ができます。

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